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無線 Wi-Fi プリンターがオフラインになる原因はこれ

無線接続の Canon のインクジェット複合機 PIXUS TS8830 が突然「オフライン」と表示され、印刷できなくなるトラブルに遭遇しました。クライアントは Windows11 です。 本記事では、その原因と対処法を詳しく解説します。なお、同様の現象は EPSON やブラザーなど、ほかの Wi-Fi 対応プリンターでも起こりうるため、幅広い機種の参考になるはずです。

突然印刷できなくなる

  • プリンターが「オフライン」と表示される
  • 印刷がスプールされたまま停止する
  • スリープや再起動後、プリンターが認識されなくなる

設定を見直しても改善せず、 PC とプリンターの通信は途切れたまま。プリンター設定を作り直せば一時的に復旧しますが、しばらく使っていると再び「オフライン」になってしまいます。

なお、ネット上で同様のトラブルを調べても、多くのメーカーサイトや FAQ では「プリンターやパソコンの再起動」や「ドライバーの再インストール」など、一般的な対処法のみが案内されているケースが目立ちます。一時的に解消することはあるものの、再発を繰り返すケースが多く、本質的な解決にはつながっていないと感じました。

USB 接続で印刷は可能に

対処として、一旦 USB ケーブルでプリンターを接続してみたところ、すぐに印刷が可能になりました。その後、数時間~数日様子を見ましたが、プリンターが「オフライン」になることはありません。この結果から、プリンター本体やドライバーの問題ではなく、ネットワーク接続そのものに原因があると分かりました。

原因の特定

WSD ポートの存在

あらためて、無線接続での設定を調べたところ、プリンターの接続には WSD(Web Services on Devices)ポートが使われていることが判明しました。 WSD は Windows がネットワーク上の機器を自動検出・構成するために採用している仕組みで、プリンターやスキャナーなどが自動的に追加される際によく使われます。
しかし、この WSD ポートが不安定な無線環境では通信エラーや認識失敗の原因となることがあり、今回の「オフライン問題」の根本的な原因だったと考えられます。

なお、 USB 接続の場合には WSD ポートは使用されません。 USB で直接接続されたプリンターはUSB001などのローカルポートとして扱われます。 WSD を使用していない USB 接続では問題が発生しないことが、 WSD ポートが原因である明確な根拠となります。

最終解決

WSD を使わず手動でポート設定

問題の根本である WSD ポートを使わず、次のように手動で設定を行いました。

  1. プリンターの IP アドレスを確認(固定 IP とする)
  2. Windows 側で Standard TCP/IP ポートを新規に作成
  3. WSD ポートのチェックを外し、手動で作成したポートに切り替え

この設定により、無線接続でも安定して印刷できるようになり、再起動やスリープ後でも問題なしとなりました。

  • WSD ポートは便利だが、無線環境では不安定になりやすい
  • USB 接続はトラブル切り分けに非常に有効
  • 最も確実なのはIP 固定+TCP/IP ポートの手動設定

WSD の仕組みと注意点

WSD(Web Services on Devices)は Microsoft が提唱するネットワーク機器の自動検出と自動構成を目的とするプロトコル群です。以下の技術的構成を持っています:

WS-Discovery:ローカルネットワーク上で機器が自ら存在をブロードキャストするプロトコル(UDP マルチキャスト)
SOAP:サービス内容やコマンド情報を XML ベースでやり取りするためのプロトコル
DPWS(Devices Profile for Web Services):小規模デバイス向けの軽量な Web サービス仕様

Windows Vista 以降の OS に標準搭載され、プリンターやスキャナーといった機器が「私はこういうサービスを提供しています」とネットワークに通知し、 PC 側がそれを検知してポートやドライバの設定を自動で行う仕組みを実現します。

WSD のメリット

  • 接続が簡単(ケーブル接続せずとも自動でプリンターが追加される)
  • ドライバのインストールも最小限で済む
  • 複数の PC から共通プリンターを自動で利用できる

WSD の問題点

  • 無線 LAN では通信が不安定になりやすい(特に 2.4GHz 帯や混雑したネットワーク)
  • プリンターの IP アドレスが変わると認識できなくなる場合がある
  • WSD ポートが無効になっていても、スリープ復帰や再起動時に Windows が自動で再構成し、通信不良を引き起こすことがある

実際の現場での対応傾向

プリンターメーカーや業務現場では、 WSD 接続をあえて避け、静的 IP アドレス+TCP/IP ポートの手動設定を推奨するケースも多く、とくに業務用レーザープリンターなどでは標準の手法とされています。

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執筆:R3098

WEB サービス構築・監修が生業です。 WordPress 関連では Aurora Heatmap などプラグイン開発も行っています。悩めるサイト運営者の無料相談受付けます!

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