大容量の USB 接続 SSD は、とても便利ですよね。
「 USB SSD って、使わないときは外したほうがいいの?」
この疑問はパソコン好きの間でよく話題になります。
高速回転する HDD と違って、 SSD には物理的な可動部がありません。では、寿命に関してはどうなのでしょうか?
結論から言えば――
外した方が延びます。
ただ、その理由を理解するには、まず多くの人が心配する 2 大要素。そして、思わぬ落としを押さえておく必要があります。
要因 1:TBW 消費 ― 書き込み寿命のカウントダウン
SSD には「 TBW(Total Bytes Written)」という寿命の物差しがあります。
これはこれまでに書き込んだデータの総量で上限に達すると寿命末期に近づきます。
この上限は容量やモデルによって異なりますが、たとえば一般的な目安は以下の通りです。
250GB クラス → 約 150TBW
500GB クラス → 約 300TBW
1TB クラス → 約 600TBW
500GB で 300TBW なら「全領域を約 600 回書き換える」と上限に達する計算です。
実際の製品見てみましょう。

WD_Black SN7100 NVMe SSD WDS200T4X0E のスペック価格 com
こちらの 2TB の SSD のスペック表に書かれている 1200 TBW は「この SSD は合計でフル容量 2 テラバイトのデータを 600 回書き込む耐久性がありますよ」というメーカーの公式な指標になります。この数値を超えてもすぐ壊れるわけではありませんが、保証外となりエラー発生率が上がる可能性があります。
アクセスしていないつもりでも
じつは OS やアプリ、 SSD 内部の処理が裏でコツコツと書き込みを行っています。
- システムログの更新
- インデックスやキャッシュの書き換え
- SSD 内部のガベージコレクションやセルリフレッシュ
TBW 消費の規模感(500GB で 300TBW モデルの場合)
バックグラウンド書き込み量(1 日) | 300TBW 到達までの年数 | 1 年間で減る寿命の割合 |
---|---|---|
1GB/日 | 約 842 年 | 0.12% |
200MB/日 | 約 4,210 年 | 0.024% |
50MB/日 | 約 16,840 年 | 0.006% |
結論として、 TBW 消費はほとんどの人にとって寿命を縮める主要因ではありません。
実際のバックグラウンド書き込み量は少なく、 TBW 的には数百〜数千年持つ計算です。
要因 2:発熱 ― 油断しがちな静かな寿命キラー
挿しっぱなしだと、アクセスがなくてもコントローラーが通電しており、わずかに発熱します。
特に夏場や通気の悪い場所では、アイドルでも 40℃近くになることがあります。
高温状態が続くと、次のような性能劣化が蓄積していきます。
これは TBW よりも現実的に寿命を縮めやすい要因です。
- NAND セルのデータ保持性能低下
- コントローラーや電源回路の経年劣化
- 熱サイクルによる基板や半田の微細なダメージ
要因 3:見落としがちな「物理的リスク」
ここまでは誰もが考えそうな寿命要因ですが、実は見落としがちなのが物理的なダメージです。
- ケーブルに足を引っかけて机から落下
- 端子の抜き差しによるコネクタ摩耗
- 静電気放電による内部破損
これらは一瞬で致命的な故障につながることがあり、しかも TBW や発熱よりも即効性があります。
特に外付け SSD は軽量で、衝撃吸収構造も限られているため、一度の事故が命取りです。
最終結論
- TBW 消費はとるに足らない(書き込み寿命的には数百年以上持つケースが大半)
- 発熱は侮れない(長期的にじわじわ劣化を進める)
- 物理的事故は即死級(落下・静電気・摩耗は一発アウト)
これを踏まえて、最適な運用方法はあなたの使い方によって決まります。
頻繁に使う場合(毎日アクセスするなど)
挿しっぱなしでも構いません。ただし、 SSD が高温にならないよう風通しのよい場所に置き、ケーブルに引っかかる危険がないよう、設置場所を工夫しましょう。抜き差しの手間やコネクタの摩耗を考えれば、安全な場所に固定しておくのが合理的です。
長期使わない・保管する場合(週に 1 回以下など)
必ず外して保管しましょう。継続的な発熱や、不慮の物理的事故のリスクを完全にゼロにできます。これが SSD を最も安全に長持ちさせる方法です。
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