tar.gz と zip はどちらもファイルを圧縮してまとめる形式ですが、いくつかの違いがあります。以下に主要な違いをまとめます。
形式とプロセス
tar.gz
tar は tape archive の略で複数のファイルやディレクトリを1つのアーカイブファイルにまとめるものです。これ自体には圧縮機能はないため、gzip という圧縮形式を使って、2ステップで処理されます。
したがって、tar でまとめたファイルを gzip で圧縮したものが tar.gz です。
- tar で複数のファイルを1つにまとめる。
- 結果のアーカイブを gzip で圧縮する。
zip
1ステップでファイルをまとめて圧縮する形式です。zip 形式はアーカイブ化(複数のファイルを1つにまとめる)と圧縮を同時に行います。
Windows や macOS でもネイティブにサポートされています。
対応するプラットフォーム
tar.gz
tar.gz はおもに Linux や Unix 系のシステム(macOS など)で使われる形式です。
Windows では標準でサポートされていませんが、7-Zip や WinRAR などのサードパーティソフトウェアを使って開けます。
zip
zip は Windows や macOS で広く使われており、どちらの OS でもネイティブサポートされています。
多くのプラットフォームで簡単に使用できるため、クロスプラットフォームでの使用に向いています。
圧縮率
tar.gz
gzip による圧縮は一般的に高い圧縮率を提供しますが、ファイルタイプによって異なります。バイナリファイルやテキストファイルの圧縮に優れています。
zip
圧縮率は tar.gz よりもやや低い傾向がありますが、圧縮とアーカイブを一度に行うため、処理が簡単です。
操作性と柔軟性
tar.gz
tar.gz では、アーカイブ化と圧縮が分離されているため、柔軟に使えます。例えば、tar アーカイブは圧縮せずにそのまま使うことも可能です。
圧縮の際に個別のファイルにアクセスできないため、アーカイブ全体を解凍する必要があります。
zip
zip はアーカイブ化と圧縮が同時に行われるため、シンプルです。
zip ファイルは個別のファイルにアクセスできるため、特定のファイルだけを解凍することができます。
処理速度
tar.gz
圧縮率が高いため、tar.gz の方が圧縮に時間がかかる場合があります。しかし、ファイルをまとめる tar のプロセスが高速であるため、大量のファイルを扱う際は効果的です。
zip
zip は圧縮とアーカイブを一度に行うため、処理速度が速い場合が多いです。小規模なファイルに対しては特に有利です。
エラー耐性
tar.gz
tar.gz は一部のファイルが壊れている場合、アーカイブ全体に影響が出ることがあります。
zip
zip はファイル単位で圧縮されるため、1つのファイルが壊れても他のファイルに影響を与えにくいです。
どちらを使うべきか
特徴 | tar.gz | zip |
---|---|---|
プラットフォーム | Linux/Unix 系(macOS 含む)、Windows でも使用可能 | クロスプラットフォーム(Windows, macOS, Linux) |
圧縮プロセス | 2ステップ(アーカイブ化 + 圧縮) | 1ステップ(アーカイブ化と圧縮を同時に) |
圧縮率 | 高め | やや低め |
個別ファイルアクセス | 不可(全体を解凍する必要あり) | 可能 |
速度 | ファイル数が多い場合、効率的 | 小規模ファイルに対して効率的 |
ネイティブサポート | Linux/Unix 系でサポート | Windows と macOS でネイティブサポート |
- Linux/Unix 系の環境では、tar.gz が一般的で効率的です。
- Windows や macOS での使用を考えるなら、zip 形式の方が扱いやすいです。
使用するプラットフォームやファイルの性質、必要な操作性に応じて決めるとよいでしょう。
アプリケーションとユーティリティの特徴
最後にそれぞれの形式で使用されるツールの特徴を簡単に紹介しておきます。
特徴 | tar.gz 用ツール | zip 用ツール |
---|---|---|
標準サポート | Linux/Unix 系(GNU tar, macOS ターミナル) | Windows/macOS(エクスプローラー、Finder) |
無料ツール | GNU tar,7-Zip, WinRAR | 7-Zip, Info-ZIP |
有料ツール | 特になし | WinZip |
操作性 | CLI に強み(tar コマンド) | GUI ツールが多い |
対応プラットフォーム | Linux/Unix 系が中心 | クロスプラットフォーム対応が多い |